在庫処分は、企業にとって避けられない課題の一つです。
特に、中小企業では、需要予測の誤りや商品回転率の低下などにより、過剰在庫を抱え込みやすい状況にあります。
しかし、在庫処分を適切に行うことは、企業の財務状況の改善や経営効率の向上に繋がるだけでなく、税務上のメリットも享受できます。
この記事では、在庫処分に関する経理処理の基本から、廃棄損の適切な計上方法、そして節税対策までを具体的に解説することで、安心して在庫処分を実行できるようになることを目指します。
在庫処分経理処理の基本
在庫処分を行う際には、適切な会計処理を行うことが重要です。
誤った処理をしてしまうと、財務諸表の信頼性を損なうだけでなく、税務上のペナルティを受ける可能性もあります。
1:廃棄損の発生原因と会計処理
在庫処分によって発生する損失は、一般的に「廃棄損」と呼ばれます。
廃棄損が発生する原因としては、以下のものが挙げられます。
・商品の品質劣化
・商品の陳腐化
・商品の在庫期限切れ
・商品の需要減少
廃棄損は、売上原価ではなく「商品廃棄損」として特別損失に計上されます。
売上原価として計上してしまうと、原価管理が正しく行えなくなるからです。
2:売上原価との違い
廃棄損と売上原価は、どちらも商品の原価に関連する費用ですが、その性質は異なります。
売上原価は、販売した商品の原価であり、企業の収益性を測る重要な指標です。
一方、廃棄損は、販売できなかった商品の原価であり、企業の収益性には直接影響しません。
3:税務上の注意点
廃棄損は、税務上も適切な処理を行う必要があります。
特に、毎年廃棄損が発生している場合は、特別損失ではなく、売上原価、販売費及び一般管理費、営業外費用のいずれかで会計処理を行う必要があります。
また、廃棄損の計上には、適切な証拠書類を保管しておくことが重要です。
在庫処分による節税対策
在庫処分は、適切な方法で行うことで、節税効果を得ることが可能です。
1:棚卸資産の減少による節税効果
過剰在庫を処分することで、棚卸資産が減少します。
棚卸資産は、企業の資産であり、その金額が大きくなると、法人税の課税対象となる利益も大きくなってしまいます。
そのため、棚卸資産を減らすことで、利益を圧縮し、法人税の支払額を減らすことができます。
2:赤字販売による損金算入
在庫処分は、廃棄するだけでなく、赤字で販売することも可能です。
赤字で販売した場合、その損失分を損金として計上することができます。
損金とは、企業の利益から控除できる費用であり、損金が増加すると、課税対象となる利益が減少し、節税効果が得られます。
3:評価損の計上
在庫の中には、時価が仕入れ価格よりも下がっているものが存在する可能性があります。
このような在庫は、決算の際に評価損として計上することができます。
評価損とは、資産の価値が減少し、その差額を損失として計上することです。
評価損を計上することで、利益を圧縮し、節税効果を得ることができます。
まとめ
在庫処分は、企業にとって避けては通れない課題であり、適切な処理を行うことで、財務状況の改善や経営効率の向上、そして節税効果を得ることが可能です。
本記事では、在庫処分に関する経理処理の基本、廃棄損の適切な計上方法、そして節税対策について解説しました。
在庫処分を行う際には、本記事で紹介した内容を参考に、適切な処理を行い、企業にとって最善の選択をするようにしましょう。
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